2013/09/22

ディズニー映画、ラプンツェルのエンドクレジットがとても良かったです。
ただ、本編ではほぼ再現されてなくて、一部の表情がいい程度におさまっていたのが残念です。

2013/08/12

素人受けと玄人受けの話


BLの話じゃないです。

前回のエントリーで書いた素人と玄人の評価の違いについて、
ちょっと掘り下げてみます。



素人に受けるのは表面的なテクニックです。
分野ごとにパターンがあって、そのパターンができているかどうかが重要です。
それっぽく見えれば、基本的に細かな違いは分からないので、十分受けます。
ただ、なんとなーく良くない気がしたり、よくよく見るとなんか違うなっていう程度には印象が変わってくるので、本当にブレイクしたいならこれだけじゃ無理です。



次に玄人ですが、これは千差万別です。
素人と違うのは、表面的なテクニックに騙されないので、そこはないものとして扱われます。
その分野の常識で、基本的に皆できるので、言うことが他にあれば言及することもないし、感銘を受けることもありません。

では何がいいのかというと、他の分野から持ち込んだもの、新しいものとの組み合わせ、根本的な実力の有無。などです。新しくて変わっていてそれでも成立してるものが評価されます。常識をわきまえた上で変わったことをして、それでも逸脱せず、場を壊さない。ユーモアですね。

あと、年をとるとたぶん寛容になるので、そこそことんがってて年の割にはできてる人は、大御所から多少ちやほやされるイメージがあります。

それから、まぐれは評価されません。分かってやってるのか、偶然できたのかは重要です。



個人的には幅の狭い人が好きじゃないです。
凄いんだけどなんか尊敬できないっていう人はこのパターンが多いです。
最初は「おっ」と思っても、見ているうちにどんどん化けの皮が剥がれるというか・・・。



これは結構重要なことなので、あんまり人に教えたくなかったんですけど、この程度の文章読んだだけでできるようになるなら、みんなできてますよね。面白い絵描けてますよね。ということで公開してみました。



注:その分野で実力のある人という意味で玄人という言葉を使っています。

2013/08/11

イラストサイトの話


かつて、アマチュアイラスト個人HPには夢があふれていました。
クソみたいなページも信じられないほどたくさんありましたが、一部の面白い、良い絵を描く人のHPは他を圧倒し、独自のコミュニティを築いていました。

しかし、Pixivが登場します。



分かりやすい点数+ブクマ制による評価と、それを元にしたランキングで競争が煽られ、とても盛り上がりました。ネットで有名だった多くの絵描きさんがランキングを賑わせて、会員数はどんどん増えました。

みんな個人HPなんか見なくなってしまったので、結果的にはPixivが個人イラストサイトを駆逐した形になりました。今ネットに残っているのは依頼者向けのポートフォリオと、その成り損ないです。

しかし、Pixiv開設2年後?くらいから、当のPixivも盛り下がっているように感じます。
具体的にはオリジナルで面白いもの、新しいものをあまり見なくなってしまいました。

Pixivだけが原因とは思いませんが、ちょっと考えてみました。



イラストの個人HPは、かつてはPixivなどの機能を一部内包していました。
分かりやすい点数などはありませんが、評価の高いイラストサイトは他のサイトで言及されたりリンクを貼られたりすることも多く、また社交的な人の場合はHP内に他のイラストサイトの人の話や合作なんかが掲載されていて、それらを総合することで、なんとなく各絵描きさんのつながりが見えてきたり、自分の評価やイメージが定まっていったものでした。

かつてのイラストサイトでは「有名な絵描きさんに評価されて言及される=良いこと」でした。
リンクをはってもらったり、合作したり、仲良くなったりするのがみんなの夢でした。
つまり、良い絵を描ける人がキュレーションする、良い物を選ぶ世界だったのです。

現在のネットはどうでしょうか?
PixivにしろBlogにしろSNSの中で評価を決めるのは数です。
「より多くの一般人に支持される=良いこと」なのです。



Tumblrで読んだ話にこんなものがあります。
「就職して数年間真面目に働いた人が日経新聞を読む。一見それらしいことが書いてあるのだが、自分の業界の話を読むと、どうにも見当はずれなことしか書いていない。普通はそう感じる。もしそう感じないなら、あなたはその業界で正しく成長できていないのだ。」というものです。

プロと素人の評価は完全に違います。
同じ物を評価することはあっても、評価している部分は違うはずです。

本来、ある業界が正しく成長するにはどちらの評価も重要です。
プロの評価は若手の育成のために。素人の評価はその業界の隆盛のために必要なのです。



現在のイラスト界隈では、PixivやTwitterなどが評価やコミュニケーションを強力にサポートするため、各個人HPから、かつてあった交流やコミュニケーションの部分が大幅に削られてしまいました。PixivやTwitterでの評価は素人の評価です。そして、かつてあったイラストサイトの横の繋がりによるプロや玄人の評価はもはや存在しないのです。

というわけで、Pixivによりいっときアマチュアイラスト業界が隆盛しましたが、若手育成のためのプロの評価がないので若手が育たず、とっても面白みのないインターネットができあがってしまいました。



分かりやすい所ではオリジナルで面白い絵を描いていた人が、Pixivはじめて最終的にはエロ同人で生計を立てようとしていたり、同じく良い絵を描くポテンシャルがある人が、どんどんソシャゲ絵に流れたりしています。

Pixivが盛り上がっていた時期というのは、Pixiv以前に実力をつけていた人がPixivで評価されていた+Pixivに適応した新しい人が評価されていた。ように思います。

Pixivが盛り下がったのは、Pixivで育つ人の幅が少ない+他に育つ場所がない。の合わせ技でしょう。しかもその少ない幅は素人受けに向けられています。これではある程度努力して玄人になった人は楽しくないだろうなーと思います。



探せばいいという意見もあるかもしれませんが、以前はもっと簡単に新しくて変わっていて面白いものが見つかっていました。

今後もし状況が変わるとすれば「プロの評価を基準にした、人の集まる場所」ができた時、ではないでしょうか。なかなか難しそうですが、是非以前のような夢のある世界に戻って欲しいです。ネットサーフィンを全力で楽しみてえよ。



注2:文中で「玄人」の意味でプロという言葉を使っている部分があります。



・追記
日経新聞の話ですが、イラストに例えるとネットにあるイラスト上達系小技まとめ!とか、イラストがうまくなるにはまとめ!みたいなやつです。クソみたいなことしか書いてないです。でもそれは当たり前で、あの文章は多数派の絵が下手な人、絵にそんなに時間をかけてない人向けの文章だからです。ああいうのに感銘を受けてるようじゃ先は長いです。


2013/08/02

Suicaトラップ


父が出張で東京に来ていたので、夕食を一緒に食べて来ました。

久しぶりによく喋り、帰り道なので品川駅で見送ることにしました。

新幹線のホームで見送るには通常の切符に加えて入場券が必要なのですが、まずは現在使用中の切符かSuicaを入れてから購入する必要があります。そこで、まずSuicaを投入し、続けて入場券のお金を入れました。

Suicaは電子切符なので、当然これで処理が完了したものと思い、そのSuicaを持って入場しようとした所、エラーが出て入れませんでした。なんと、Suicaは現在どのような切符で入場しているのかを確認するために必要なだけで、お金は別に払い、さらに、その場で発券される入場券を持って入らなければならないようです。

職員の人に2度も確認して何度か入場することができました。
赤っ恥をかきました。つらいです。

2013/07/31

ソシャゲの絵と写実主義の話。

最近ソーシャルゲームがとても活発で、ソシャゲ用の絵の仕事が大量に存在するらしいです。

主にカードゲームのキャライラストだと思うのですが、現実世界のカードだけだったころに比べて、乱立するソシャゲと増え続けるソシャゲ用カード需要のおかげで、ものすごい量の仕事が発生し、世に存在する絵描き志望の内、かなりのリソースがソシャゲ用キャラ絵に向けられているようです。

この状況が、19世紀中盤の印象派以前の状態にすごく似ているのではないかと思います。



印象派以前、ヨーロッパでは肖像画、風景画の需要しかなく、ほとんど全ての職業画家はこれらの絵を描き、ひたすら細密さと現実感、多少の光の表現を追求していました。キリスト教の影響が大きいらしいのですが、この写実主義がかなり長く続き、支配的だったようです。

現在のソシャゲと比べてみると、目標が非常に明確である。遊びの幅が少ない。研究しつくされていて、今後の発展性があまりない。市場に占める割合が支配的である。などの点で良く似ていると思います。(発展性については、アニメーションや3DCGなどに派生する可能性は残されている)



さて、この写実主義がその後どうなったかというと、カメラの発明により一気に肖像画の需要が減り、普通以下の画家は仕事にあぶれるようになってしまいます。そして、肖像画から開放され仕事もなくなった画家たちは、印象派、ジャポニズムなどの新しい創作を模索していきます。

この時代からアール・ヌーヴォーの終わりくらいまでが僕は最も好きです。
特にクリムトにはお世話になりました。

それまでにあった非常に明確な枠を、いかに歪めるか、いかに取り払うかを模索し、かつてあった常識(写実主義)を共有した上でいかに遊ぶか。という非常にユーモアが問われた時代だったと思います。

さらに時代が進むと、写実主義という常識を完全に失ってしまった絵画の世界は、ただ前提や常識もなく奇抜なことを行い、言葉でそれを補うというあまり面白くないものになっていきます。

イラストレーションが進化し続けたことを思うと、実用品から離れすぎたことが、今日の低迷を招いたのではないかと思いますが、ちょっと話がずれるので割愛します。



さて、では今後ソーシャルゲームによって、カードゲーム用キャラ絵のスキルをつけた大量の絵描きはどうなるのでしょうか。

色々な人が言っていますが、おそらく今の状況が20年も続くことはないでしょう。スマートフォンも日々進化していますし、いつまでも「スマホのゲーム=カードゲーム」という状況が続くとは考えにくいです。全てのカードゲームがなくなるわけではないので、一握りのトップ絵描きの人たちはなんの問題もなさそうですが、いずれソシャゲカードゲーム神話が崩壊する際には、大量の普通以下のキャラ絵描きが職にあぶれることになるでしょう。

しかし、19世紀の写実主義絵画と最も違う点は、今日の絵が主に他の製品を成り立たせるための実用品であるということです。(例:ゲーム、漫画、イラストレーションなど)
よって、19世紀末に起きたような「それまで支配的だった絵を前提にしたさらなる発展」は起きそうにありません。

むしろ注目すべきは、「志望人口比率の推移」でしょう。Pixivの影響も大きいと思いますが、2010年代に入る前後から、新しいものや、ニッチを目指しつつもとても実力のある若手、というのが一気に減ったように感じます。

現状の絵描き志望者のとても多くの部分がPixiv、ニコニコ動画、大量にあるソーシャルゲームの仕事。などに向けられていて、それ以外を目指す若手の絵のレベルがどんどん下がっているのではないでしょうか。

実力のある若手がどのように発生するかというと、単純に分母の大きさです。
スポーツなどが分かりやすいのですが、あるスポーツでその国が強いかどうかは、競技人口に比例します。才能があり努力して実力を付ける人というのは、運で作り上げられます。そのため、単純にそれを目指している人が多ければ多いほど、実力のある若手が台頭し、またそのジャンル全体の実力、トップの実力も底上げされていくことになります。

いつかソシャゲ用カードゲームキャラ絵の仕事が一気に減った暁には、投入されていた大量の絵描き志望者のリソースが他に向けられることになるでしょう。下がる一方の他ジャンルの絵のレベルが一気に上がり、有望な若手が次々に登場する時代が到来するでしょう。たぶん。



僕は書籍装画系のイラストレーターで生計を立てることを目指しているので、現状は大歓迎です。レベルは大いに下がっていただきたい。おかげさまで相対的にぼくの評価が上がるはずです。

そして、いずれ来るであろう「有望な若手がどんどん出てくる時代」というのが楽しみでもあり、恐ろしくもあります。それまでになんとか自分の存在感を確保しておかねばなりません。

というわけでお仕事募集中です。よろしくです。




2013/07/24

セブン-イレブンのサーモンクリームサンドがたいへんおいしいです。
サーモンたっぷりです。